元素ファミリー　昆虫に含まれる元素たち

この記事を書いた人： 渡部智博

立教新座中学校・高等学校

昆虫こんちゅうは，頭部とうぶ，胸部きょうぶ，腹部ふくぶの3つの部分ぶぶんからなり，胸部には6本ぽんのあしがあります。現在げんざい知しられている生物せいぶつのうち半数はんすう以上いじょうは昆虫であり，約やく100万まん種類しゅるいとも言いわれています。

カブトムシの外がい骨格こっかく

写真提供　虫ナビ

カブトムシの体からだは，外骨格と呼よばれる堅かたい外皮がいひで覆おおわれており，炭素たんそ，水素すいそ，酸素さんそ，窒素ちっそからなるキチンという物質ぶっしつからできています。しかし，カニの殻からなどとは違ちがい，カルシウムは含まれていません。

トンボの血液けつえき

写真提供　北川村「モネの庭」マルモッタン

トンボなどは，背中せなかにある背脈管はいみゃくかんから血液やリンパ液えきの働はたらきのある血けつリンパが組織そしきの間あいだに送おくり出だされます。このような昆虫の血リンパはヘモシアニンを含み，酸素と結むすびつくと銅どうに由来ゆらいする青色あおいろとなり，酸素が離はなれると無色むしょくとなります。血リンパは，含まれている色素しきそによっては黄色きいろや緑色みどりいろをしています。

食たべられる昆虫

写真提供　やまがたアグリネット

イナゴなどの昆虫は食用しょくようとされており，炭素，水素，酸素，窒素などからなるタンパク質しつや脂肪しぼう，そしてリン，カルシウム，ナトリウム，亜鉛あえん，鉄てつなどのミネラルが含まれています。特とくに，多くの昆虫ではタンパク質が，乾燥かんそう重量じゅうりょうの6割わり以上となるため，栄養えいよう価かが高たかいと言われています。

ハエの心臓しんぞう

写真提供　山元大輔氏

ショウジョウバエが，ジエチルエーテルという麻酔ますい薬やくをかぐとダンスをするようにあしを振ふるわせたことから，背脈管の動うごきとカリウムが関係かんけいすることがわかりました。ショウジョウバエは，心臓の不ふ整脈せいみゃくに関かかわる新あたらしい薬くすりの開発かいはつなどのモデル動物どうぶつとして利用りようされています。

化学だいすきクラブニュースレター第40号（2018年12月1日発行）より編集／転載