化学だいすきクラブ

君も化学者! カラフルな人工イクラを作ろう!

君も化学者! カラフルな人工イクラを作ろう!

アルギン酸ナトリウムの水溶液を塩化カルシウム水溶液中に滴下すると,小さな丸い粒ができます。赤く着色すれば,まるでイクラのようです。カラフルな人工イクラを作ってみましょう。

実験は必ず大人と一緒に行ってください。実験するときは,保護めがねを着用してください。

注意:今回の実験で作った粒は,食用ではないので食べてはいけません。

この記事を書いた人: 田村定義
慶應義塾女子高等学校

準備するもの

  • アルギン酸ナトリウム
  • 塩化カルシウム
  • 電子天秤
  • 薬包紙
  • 薬さじ
  • 食用色素(2,3色)
  • スポイト
  • ビーカー(300 mL)2個
  • ビーカー(50 mL)2個
  • ガラス棒 3本
  • 茶こし
  • ペットボトル(500 mL)

実験方法1

実験方法1: 約40℃の湯100 mLをペットボトルに入れ,アルギン酸ナトリウム1 gを少しずつ溶かし,約1 %のアルギン酸ナトリウム水溶液をつくる <strong><注意>アルギン酸ナトリウムを一度に加えるとダマになってしまうので,アルギン酸ナトリウムを湯に少しずつ加えては振り混ぜて,根気よく完全に溶かす

約40℃の湯100 mLをペットボトルに入れ,アルギン酸ナトリウム1 gを少しずつ溶かし,約1 %のアルギン酸ナトリウム水溶液をつくる

<注意>アルギン酸ナトリウムを一度に加えるとダマになってしまうので,アルギン酸ナトリウムを湯に少しずつ加えては振り混ぜて,根気よく完全に溶かす

実験方法2

実験方法2: 水180 mLをビーカー(300 mL)に入れ,塩化カルシウム20 gを溶かし,約10 %の塩化カルシウム水溶液をつくる

水180 mLをビーカー(300 mL)に入れ,塩化カルシウム20 gを溶かし,約10 %の塩化カルシウム水溶液をつくる

実験方法3

実験方法3: 実験方法1のアルギン酸ナトリウム水溶液約10 mLをビーカー(50 mL)に入れ,食用色素を少量加え,ガラス棒でよくかき混ぜて溶かす <strong><アドバイス>食用色素は,付属の小さじ1/4くらい溶かす

実験方法1のアルギン酸ナトリウム水溶液約10 mLをビーカー(50 mL)に入れ,食用色素を少量加え,ガラス棒でよくかき混ぜて溶かす

<アドバイス>食用色素は,付属の小さじ1/4くらい溶かす

実験方法4

実験方法4: 実験方法2の塩化カルシウム水溶液約30 mLをビーカー(50 mL)に入れ,ここに実験方法3の溶液を15〜20滴,スポイトで滴下する 4〜5分待つと,滴下した実験方法3の溶液の表面が固まって人工イクラの粒ができる <strong><アドバイス>塩化カルシウム水溶液は使いまわすことができるが,色素が溶け出して汚れることもあるので,適宜交換すること

実験方法2の塩化カルシウム水溶液約30 mLをビーカー(50 mL)に入れ,ここに実験方法3の溶液を15〜20滴,スポイトで滴下する

4〜5分待つと,滴下した実験方法3の溶液の表面が固まって人工イクラの粒ができる

<アドバイス>塩化カルシウム水溶液は使いまわすことができるが,色素が溶け出して汚れることもあるので,適宜交換すること

実験方法5

実験方法5: 実験方法4でつくった人工イクラを,茶こしにとって水をかけて洗い,水が入ったビーカー(300 mL)に入れる いろいろな色の人工イクラをつくり,一緒に入れてかき混ぜる

実験方法4でつくった人工イクラを,茶こしにとって水をかけて洗い,水が入ったビーカー(300 mL)に入れる

いろいろな色の人工イクラをつくり,一緒に入れてかき混ぜる

実験の解説

実験の解説: アルギン酸は水に溶けにくいですが,ナトリウム(Na)との塩は水に溶けて粘り気のある溶液になります。このアルギン酸ナトリウム水溶液にカルシウムイオン(Ca<sup>2+ </sup>)を加えると,水に不溶なゲルができます。このゲルが膜になって中に溶液を包み込み,人工イクラができました。ゲル化するのはアルギン酸ナトリウム中のNa<sup>+</sup>とCa<sup>2+</sup>が交換して,アルギン酸の構造中にある—COO<sup>-</sup>の部分で架橋(橋かけ)されるためです。

アルギン酸は水に溶けにくいですが,ナトリウム(Na)との塩は水に溶けて粘り気のある溶液になります。このアルギン酸ナトリウム水溶液にカルシウムイオン(Ca2+ )を加えると,水に不溶なゲルができます。このゲルが膜になって中に溶液を包み込み,人工イクラができました。ゲル化するのはアルギン酸ナトリウム中のNa+とCa2+が交換して,アルギン酸の構造中にある—COO-の部分で架橋(橋かけ)されるためです。

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化学だいすきクラブニュースレター第39号(2018年7月1日発行)より編集/転載

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