
化学だいすキッズ ウイスキーで紙コップロケットを飛ばしてみよう!
今回紹介する実験は,お酒の一種であるウイスキーを使って,紙コップをロケットのように飛ばす実験です。この実験は火を使うので,必ず大人と一緒に行ってくださいね。また,換気を良くして実験を行ってください。
それでは,実験を始めてみましょう!
準備するもの

- 空き缶
- 缶切り
- 画びょう
- 千枚通し
- 点火ライター
- 紙コップ
- ウイスキー
- 水でぬらしたタオル
実験方法1

缶切りで,空き缶の上の部分を切る
注意:手を切らないように注意!
実験方法2

空き缶の下から2 cmの部分に画びょうで穴をあけた後,千枚通しで穴の大きさを5 mmくらいにする
実験方法3

ウイスキーのふた一杯分のウイスキーを空き缶に入れ,空き缶の穴を指で押さえながら,缶を回して中全体をウイスキーでぬらす。空き缶内のウイスキーは全部捨てる。
注意:このとき,ウイスキーを捨てずに実験をすると,ウイスキーに火がつくので危険です
実験方法4

紙コップをかぶせて,少し力を入れて上から押す
実験方法5

缶の穴を押さえながら,両手で40秒くらい缶を温める
アドバイス:部屋の温度が低いときは温める時間を長くしてください
実験方法6

缶を安定するところに立てる
注意:真上に照明器具がないことを確認してください
実験方法7

点火ライターの火を空き缶の穴のところの近くまで持っていく
注意:このとき,決してコップの上に顔を出さないこと
注意:もしも,火がついてしまった場合は水でぬらしたタオルを上からかぶせてください
実験の解説

この実験は,「小さな爆発」を利用した実験です。火をつけると,“パーン”と音をたてながら紙コップが飛んでいき,まるでロケットのように見えますね。うまく飛ばすと2 mくらいの高さまで上がりますよ。この「小さな爆発」は,ウイスキーに入っているエタノール(アルコールの仲間)の気体と空気がまざった気体に火をつけるとおこります。じつは,この「小さな爆発」を利用して自動車のエンジンも動いているのですよ!
爆発って何?
ウイスキーにはエタノールが入っています。エタノールは,火をつけると燃える性質があります。この燃えるエタノールを温めて液体から気体に変化させます。気体のエタノールと空気がまざった気体に火をつけると一気に燃え,このとき気体の体積が急激に大きくなります。これが爆発です。
どうして手で温めたの?
実験の中で,缶の中全体をウイスキーでぬらし,手で温めましたが,これは缶の中のエタノールを蒸発させて気体にするためです。ウイスキーには水も入っているために,温める前は缶内のエタノールの気体の量はとても少なくなっています。爆発がおこるには,ある量のエタノールの気体が必要なので,手で温めたのです。この実験では,ウイスキーを手で温めることによってエタノールの気体の量を適量に増やしているので,エタノールそのものを使うより取り扱いは安全だと言えます。
役に立つ化学
爆発というと爆弾とか事故を連想すると思いますが,じつはこの爆発を利用したものが私たちの生活の中で役立っています。例えば,私たちがよく利用している自動車のエンジンでは,ガソリンの気体と空気が混ざった気体にプラグの火花で点火して爆発を起こしています。そして,その力をクランクに伝えて自動車が動き始めるのです。爆発という現象も,化学の力でコントロールすることによって私たちの生活に役立っているのです。
化学だいすキッズ第1号(2007年2月15日発行)より編集/転載