家庭でトライ!! 海水から食塩を取りだそう
海水からは,食塩を取りだせることは知っていますね。それでは,食塩がどのくらい海水から取りだせるか確かめましょう。食塩を取りだす途中で,食塩以外の物質も出てきますよ。実験をして調べてみましょう。
小学生以下の皆さんは,大人といっしょに実験をしましょう!
用意するもの
- 海水2 L(海に行く機会をとらえ,空ペットボトルに海水をくむ。海水はペーパーフィルターを通してろ過すること。きれいな海水であればろ過の作業は省略可)
- フライパンまたはなべ
- コップ(耐熱)
- コーヒー用ペーパーフィルター(1人用)
- 割り箸
*火を使うときは,大人といっしょに実験をしましょう
実験手順1
水を蒸発させ,海水を濃くする
海水をフライパンやなべに入れ,火にかけて水分を蒸発させる。煮つまってくると濃い海水は全体的に白くなってくる。量が200 mLぐらいになったら,コップなどの別の容器にうつして冷ます。
実験手順2
硫酸カルシウム(石こう)を取りだす
濃い海水ははじめは白く濁っている。30分ほど置くと,透明な上ずみ液と沈んだ白い物に分かれる。沈んだ白い物は硫酸カルシウム(石こう)という。乾くとすべすべした粉になる。
実験手順3
さらに煮詰め,にがりを取りだす
上ずみ液だけを別のなべに移して火にかけ,さらに水分を蒸発させる。水分が減ってくると,白い結晶がでてくる。この結晶の主成分が食塩。食塩がでてきても,水分がほぼなくなるまで割り箸でかき混ぜながら煮つめる。煮つめた食塩水をフィルターに中にあけるとポタポタと水滴が落ちてくる。これが「にがり」で,豆腐を固めるときに使う。
<コツ>水分がなくなってくると食塩の結晶(粒)が飛び散りやすくなるので,注意しながら加熱し,すぐに火をとめましょう。
実験手順4
最後に,食塩を取りだす
フィルターの中に残った白い結晶が食塩。計算では海水2 Lから70 gほどの食塩がとれる。この食塩にはまだ水分が残ってべたついているので,別のなべに移してから「からいり」する。こうすると,さらさらの食塩ができあがる。
実験の解説
海水からはさまざまな物質が取りだせる
海水はなめると塩辛いので,食塩が相当取りだせるように感じますが,実際には海水全体の約3%程度に過ぎません。海水の約97%,大部分は水なのです。
水をのぞいた海水中の物質のうち食塩は78%もあり,もっとも多く取りだせます。しかし,海水から取りだせる物質は食塩だけではありません。図のグラフのように,いろいろな物質が取りだせます。「にがり」(塩化マグネシウムを主成分とする)も約10%取り出せます。3番目に多いのは硫酸マグネシウム,4番目が硫酸カルシウム(石こう)となっています。
参考
海水の成分図 https://www.jti.co.jp/Culture/museum/exhibition/1997/9707jul/sio1.html
化学だいすきクラブニュースレター第5号(2007年7月20日発行)より編集/転載