元素ファミリー 医薬品をつくる元素たち
制酸剤・便秘薬
マグネシウムMg(酸化マグネシウムMgO)を含む薬は,過剰な胃酸を中和反応により,胃炎などの症状を軽減する働きがあります。また,腸内の水分が増えるため,便がやわらかくなり,排便を促す便秘薬として使われます。
消毒液
ヨウ素I2には酸化による殺菌作用があり,ヨウ素のエタノール溶液であるヨードチンキは,傷口などの殺菌消毒に使われています。また,咽頭炎の患部に塗布するルゴール液にもヨウ素が含まれています。
抗がん剤
シスプラチン( [PtCl2(NH3)2] のシス体)は白金Ptを含むがんの治療薬で,DNA(遺伝子の本体)と結合して,がん細胞の増殖を抑える作用をもっています。
精神疾患治療薬
精神疾患の治療薬として,リチウムLi(炭酸リチウムLi2CO3)を含む薬が使われています。この薬には,気分の異常な高揚を抑える効果があります。
リウマチ性関節炎治療薬
関節リウマチは,免疫の異常によって関節に腫れや痛みが起こり,やがて関節が変形してしまう病気です。金Au(金チオリンゴ酸ナトリウム,C4H3AuNa2O4SとC4H4AuNaO4Sの混合物)を含む薬は,原因となる物質の生成を抑えて,症状を和らげます。
高リン血症治療薬
腎臓の病気になると,リンが排泄されにくくなり,体内にリンが溜まり,いろいろな病気の原因となります。この薬に含まれるランタンLa(炭酸ランタンLa2(CO3)3)には,食物に含まれるリンと結合して,そのままリンを便として排泄させる働きがあります。
化学だいすきクラブニュースレター第42号(2019年7月1日発行)より編集/転載