元素ファミリー 宝石をつくる元素たち
地球の半径は約6400 km,地球の表層部である地殻は約5~40 kmになる。
地殻は,酸素O,ケイ素Si,アルミニウムAlなどの元素を含む岩石や鉱物からできている。鉱物の中で,美しい色と輝きをもっているものが宝石と呼ばれ,透明度や硬度,希少性が高いことなどの特徴がある。
エメラルド
化学組成:Be3Al2Si6O18
エメラルドは,ケイ素Si,ベリリウムBe,アルミニウムAlなどの元素を含み,微量のクロムCrやバナジウムVによって緑色に着色している。エメラルドの名は,「緑色の石」を意味するギリシャ語に由来し,クレオパトラが愛した宝石として知られている。
オパール
化学組成:SiO2・nH2O
オパールは,水晶と同じ二酸化ケイ素SiO2からできている宝石で,粒子の規則的な配列によって光が干渉し合い,見る角度によって独特の虹色が現れる。オパールは,その成分に水H2Oを含み,乾燥するとひび割れができる。オパールの名は,貴石を意味するラテン語に由来し,宮沢賢治の短編童話「貝の火」に登場する宝石である。
ルビー,サファイア
化学組成:Al2O3
ルビーとサファイアは,アルミナAl2O3からできている宝石で,赤色のものをルビー,それ以外の色のものをサファイアと呼んでいる。ルビーの赤色は少量のクロムCr,サファイアの青色はチタンTiや鉄Feにより着色している。ルビーとサファイアの名は,それぞれ赤色,青色を意味するラテン語に由来する。
ダイヤモンド
化学組成:C
炭素からなる鉱物で,天然の物質のなかで最も硬いため,宝石などを磨く研磨剤として使用されている。ダイヤモンドの名は,「征服されないもの」を意味するギリシャ語に由来する。世界最大のダイヤモンドの原石が3106カラット(621 g)であったといわれ,イギリス王室の王冠に飾られている。
トルコ石
化学組成:CuAl6(PO4)4(OH)8・4H2O
トルコ石は,銅Cu,アルミニウムAl,リンPなどの元素を含み,純粋なものは鮮やかな青色で,不純物に鉄Feを含むと緑色になる。トルコ石はトルコ産ではなく,ペルシャ(イラン)で採掘されたものがトルコ経由でヨーロッパに広がったことから,トルコ石と呼ばれるようになった。
化学だいすきクラブニュースレター第46号(2020年12月1日発行)より編集/転載