化学だいすきクラブ

活躍する化学 固ゆで卵・半熟卵・温泉卵 ~あなたのお好みの卵は?~

活躍する化学 固ゆで卵・半熟卵・温泉卵 ~あなたのお好みの卵は?~
この記事を書いた人: 赤尾綾子
洗足学園小学校

卵はどうして固まるの?

動物のからだの中にはタンパク質が含まれています。このタンパク質は熱で固まる性質があります。例えば,肉や魚に熱を加えて調理をすると固くなりますね。卵にもタンパク質がたくさん入っているので,ゆでると固まります。

タンパク質はアミノ酸が数珠玉のようにつながり,ひもがからまったような状態になっています。熱を加えると,タンパク質のからまり方が変わり,新たに外側に出てきた部分が別のタンパク質とくっつきあうことで固まります。

水が温度によって液体になったり固体になったりするのとは異なり,タンパク質は熱を加えると固まりますが,一度固まったタンパク質を冷やしても,元には戻りません。

タンパク質が固まる温度

タンパク質が固まる温度は,タンパク質の種類によって異なります(図1)。卵の場合,黄身は65~70 ℃,白身は80 ℃近くで完全に固まると言われています。この温度差を利用することで,いろいろなゆで卵を作ることができます。

①固ゆで卵

固ゆで卵とは,白身も黄身も十分に固まった卵のことです。白身も黄身も固まればいいので,例えば,80 ℃以上のお湯で卵をゆで続ければ完成します。

②半熟卵

半熟卵とは,白身は固まっていて,黄身は固まっていないゆで卵のことです。半熟卵を作るには,熱の伝わる時間差を使います。

卵をお湯に入れると,まずは白身に熱が伝わり,その後黄身に熱が伝わります。お湯に入れる時間を短くし,白身だけに熱が加わり,黄身に熱が伝わる前に熱するのをやめることで作れます。

③温泉卵

温泉卵は,黄身が固まり(または半熟のような状態で),白身が固まりかけの状態の卵をさすことが多いです。これは,黄身と白身のタンパク質の固まる温度の差を使うと作ることができます。黄身が固まる65~70 ℃の温度の湯に,卵を長時間つけます。すると,黄身は固まりますが,白身は完全に固まっていない状態になります。

図1
図1: タンパク質が固まる温度
写真1
写真1: 固ゆで卵
写真2
写真2: 半熟卵
写真3
写真3: 温泉卵

化学だいすきクラブニュースレター第46号(2020年12月1日発行)より編集/転載

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