活躍する化学 身近な野菜と果物から生命の起源を探ろう ～ブロッコリーとオレンジジュースからDNAをとり出す～
生物の祖先はみんな同じ
私たちが住む地球では，多くの種類の生物が存在しています。どうしてこのようなたくさんの生物がいるのでしょうか。生物が，長い時間をかけて，多くの代を重ねる間に変化することを「進化」といいます。外形やはたらきが異なる体の部分も，もとは同じで，同じものから変化したと考えられています。
生物が受け継いできたもの
私たちヒトも含め，多くの生物は「細胞」と呼ばれる小さな構造が集まって体がつくられています。一つの細胞で成り立つものもいれば，ヒトのように多くの細胞で成り立つものもいます。細胞の中には「核」と呼ばれる場所があり，核の中には「遺伝子」があります。この遺伝子は，生物の体のつくりを決めるものであり，設計図のようなはたらきをします。この遺伝子を祖先から，はるか昔より今日まで生物は受け継いできました。
遺伝子の本体を見てみよう！
遺伝子の本体は「DNA」と呼ばれています。では，実際にDNAを見てみましょう。身近な野菜や果物から簡単にDNAをとり出すことができます。
ブロッコリーの花芽を細かくなるまですりつぶし，食塩と中性食器用洗剤をそれぞれ小さじ2杯ずつ取り，水を加えて全体を200 mLにしたDNA抽出液を，花芽が浸る程度に加え，やさしくかき混ぜます。少し時間をおき，ガーゼやコーヒーフィルターを使って，コップにろ過します。ろ過した液体に無水エタノールを静かに加えると，やがてろ過した液体が2層になり，白い糸状のものが浮かび上がってきます（写真１）。これがDNAです。オレンジジュースを使っても観察できます（写真２）。オレンジジュースでやる場合は，オレンジジュースをろ過せずに、無水エタノールを直接加 えます。ぜひ，お家でチャレンジしてみてください。
- 参考文献
- 家庭でトライ！！DNAを取りだそう！
化学だいすきクラブニュースレター第49号（2021年12月1日発行）より編集／転載
