化学だいすきクラブ

元素ファミリー 科学者が元素名の由来となった元素たち!

元素ファミリー 科学者が元素名の由来となった元素たち!

元素は,現在約120種類が発見されていますが,それらの元素名の多くは,ラテン語やローマ神話が由来となっています。

その他に,元素が発見された地域や国名,偉大な業績を上げた科学者にちなんで命名されています。

科学者の名前を由来とした元素について,その中の6種類の元素を科学者が描かれた切手とともに紹介します。

この記事を書いた人: 肆矢浩一
國學院高校

Cm[元素名 キュリウム]

写真1 マリー・キュリー写真1 マリー・キュリー

キュリウムは,1944年にプルトニウムPuにアルファ粒子を照射して得られた元素です。放射能の研究で有名なキュリー夫妻の功績を称えて命名されました。キュリー夫妻は,ポーランド出身のマリー・キュリー(1867~1934,写真1)とフランス出身のピエール・キュリー(1859~1906)の二人です。

Es[元素名 アインスタイニウム]

写真2 アルベルト・アインシュタイン写真2 アルベルト・アインシュタイン

アインスタイニウムは,1952年に行われた水素爆弾の実験で,その放射性降下物の中から発見されました。この元素は,物理学者アルベルト・アインシュタイン(1879~1955,写真2)の功績を称えて命名されましたが,命名の4か月前に亡くなっています。アインシュタインは,特殊相対性理論,光電効果,ブラウン運動などの業績を上げています。

Fm[元素名 フェルミウム]

写真3 エンリコ・フェルミ写真3 エンリコ・フェルミ

フェルミウムは,アインスタイニウムEsと同時期に発見されました。この元素は,イタリアの物理学者エンリコ・フェルミ(1901~1954,写真3)の功績を称えて命名されましたが,フェルミは命名の前年に亡くなっています。フェルミは,多くの放射性同位元素をつくり,世界初の原子炉を完成させました。

Rf[元素名 ラザホージウム]

写真4 アーネスト・ラザフォード写真4 アーネスト・ラザフォード

ラザホージウムは,1969年にカルホルニウムCfに炭素Cを衝突させて得られた元素です。ニュージーランド出身のイギリスの物理学者アーネスト・ラザフォード(1871~1937,写真4)にちなんで命名されました。ラザフォードは,「原子の中心には原子核が存在する」という原子モデルを発表しました。

Bh[元素名 ボーリウム]

写真5 ニールス・ボーア写真5 ニールス・ボーア

ボーリウムは,1981年にビスマスBiにクロムCrを衝突させて得られた元素です。元素名は,デンマークの物理学者ニールス・ボーア(1885~1962,写真5)に由来します。ボーアは,原子の構造について研究を行い,ボーアの原子模型を発表しました。

Rg[元素名 レントゲニウム]

写真6 ヴィルヘルム・レントゲン写真6 ヴィルヘルム・レントゲン

レントゲニウムは,1994年にビスマスBiにニッケルNiを衝突させることで得られた元素です。元素名は,ドイツの物理学者ヴィルヘルム・レントゲン(1845~1923,写真6)にちなんで命名されました。レントゲンが発見した X線は,人体を透過して写真撮影する診断装置などに利用されています。

切手写真提供/齊藤幸一氏(開成学園)

化学だいすきクラブニュースレター第51号(2022年7月1日発行)より編集/転載

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