活躍する化学 暑さをふきとばそう! ~重曹とクエン酸による化学変化~
身近な食べ物に含まれる重曹とクエン酸
掃除にも使われる重曹(写真1)は,,炭酸水素ナトリウムNaHCO3と呼ばれる常温で白色の固体です。NaHCO3水溶液は弱アルカリ性を示し,フェノールフタレイン溶液を加えると薄い赤色に変化します。また,NaHCO3を加熱すると二酸化炭素CO2を発生するため,ベーキングパウダーの主成分としてホットケーキやパンをふくらませる役目を果たします。
そして,水アカやセッケンかすを落とすのに効果のある洗剤として利用されているクエン酸(写真2)も常温で白色の固体です。クエン酸C6H8O7はレモン等の柑橘類や梅干しに含まれ,爽やかな酸味を示すことから食品添加物として多用されています。クエン酸を水に溶かすと酸性を示します。
重曹とクエン酸に水を加えると?
重曹とクエン酸の二つを混ぜ合わせ,水を加えるとどうなるのでしょうか? 重曹とクエン酸が化学変化を起こし,二酸化炭素が発生し,温度が下がります。化学変化は熱くなるというイメージがありますが,発熱の反対に,熱を吸収する化学変化もあるのです。このように熱を吸収する化学変化を吸熱反応といいます。この化学変化で発生した二酸化炭素は,気体なので広い空間に出ていき,二酸化炭素分子どうしがバラバラに離れます。このようにバラバラになる度合いが大きな化学変化は吸熱変化でも起こるのです。
お家でチャレンジ!
手のひらに重曹とクエン酸をそれぞれ一つまみのせます。その上に水を2〜3滴加えると,シュワッとした泡が出てきます(写真3)。この泡の正体が炭酸水にも含まれている二酸化炭素です。それと同時に手の平がヒンヤリと冷たく感じます。暑い夏にピッタリです。
吸熱反応を利用したものに冷却パックがあります。市販されている冷却パックの成分表示を見てみると,尿素や硝酸アンモニウムの名前が見つかります。硝酸アンモニウムは身近なところでは手に入りませんが,尿素は手に入りやすいので,下記の参考文献の実験をやってみるとよいと思います。
- 参考文献
- イラストでわかるおもしろい化学の世界1身近な実験,山口晃弘編 著,東洋館出版社,2011,pp.49-52.
化学だいすきクラブニュースレター第51号(2022年7月1日発行)より編集/転載