君も化学者! 過冷却を体験しよう!
実験は必ず大人と一緒に行ってください。
実験を行うときは,白衣・保護めがね・実験用の薄手の手袋を着用してください。
準備するもの
- デジタル温度計(-10 ℃まで測れるもの)
- 直径12 mmの試験管*
- 500 mLビーカー
- 薬さじ
- ゴム栓
- 塩
- 氷
- 純水
*試験管は,汚れや傷のないきれいなものを使うこと
実験方法1
穴のあいたゴム栓にデジタル温度計を差し,8割くらいまで純水を入れた試験管にゴム栓を付ける
実験方法2
砕いた氷と塩の割合が3:1程度になるように500 mLビーカーに入れ,薬さじでよくかき混ぜる
実験方法3
実験方法1の試験管を実験方法2の氷に差し込み,試験管の上部まで氷で覆う
実験方法4
デジタル温度計の温度が「-6 ℃」になったところで,試験管を静かにビーカーから取り出す
0 ℃より低い温度でも純水が凍っていないことが確認できたら,試験管を振り純水に衝撃を与える
実験方法5
純水が一瞬で凍ることを観察しよう
うまくいかなかった場合には,お湯で試験管の中の氷を融かし,実験方法3から繰り返す
実験の解説
液体を冷却すると,凝固点より温度が低くても固体に変化しない過冷却現象と呼ばれる現象が起こることがあります。この過冷却状態で衝撃を与えたり,小さな個体の結晶を加えると急速に液体が凝固して固体になります。このとき,液体から固体に変化することで凝固熱が放出されるため,温度が上昇します。
過冷却は自然界でもみられる現象です。宮城県と山形県の境にある蔵王山で,寒い冬に見られる樹氷は有名ですね。これは,過冷却状態にある大気中の微細な水滴が,樹木に凍結付着してできるのです。
化学だいすきクラブニュースレター第51号(2022年7月1日発行)より編集/転載