元素ファミリー 身近な製品で活躍するハロゲン
周期表は,性質が似ている元素が縦に並ぶように作られていて,様々なグループがあります。今回は左から17番目(右から2番目)のハロゲンというグループの中でも特に身近な4つの元素について紹介します。
フッ素 F
歯磨き粉にフッ素が含まれていることを知っている人もいるでしょう。実際にはフッ化ナトリウムという物質で,虫歯の予防に役立ちます。また「テフロン」という商品名の物質にも含まれており,フライパンや鍋の表面に加工されて焦げ付きの予防に役立ちます。産業面ではフッ化水素(フッ酸)という物質がとても大切です。半導体の製造に使われるほか,ガラスを溶解させるので,実験用のガラス器具の目盛りを刻むときなどにも使われます。
そして東京大学と理化学研究所が2022年の5月に発表した,フッ素化ナノチューブという物質にも含まれています。これは超高速で海水から純水を作り出せるというものです。
塩素 Cl
水道やプールの水などの消毒剤,衣類などの漂白剤に塩素が含まれています。具体的には塩素分子が水に溶けたときに生成する次亜塩素酸の塩が用いられています。他にも海水や食塩(塩化ナトリウム),灰色の塩ビ管(ポリ塩化ビニル),かつて麻酔薬として使われていたクロロホルム,殺虫剤に使用されていたDDT(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)などにも含まれています。
臭素 Br
デジタルカメラが主流になり,今ではあまり見かけませんが,フィルム式カメラの白黒フィルムに臭素は使われており,臭化銀という物質に含まれています。臭化銀は光が当たると分解する感光性が非常に強いため,映像を記録することができるのです。また,難燃剤として電気製品や建築材,繊維などにも含まれています。
ヨウ素 I
うがい薬や消毒薬のヨードチンキ,ヨウ素デンプン反応でおなじみのヨウ素液などにヨウ素は含まれています。
また,白熱電球に気体のヨウ素や臭素をいれたものがハロゲンランプです。そして日本は資源があまりない国ではありますが,実はヨウ素の生産量がチリに次いで,世界第2位です。千葉県西部の地下200~2000 mに存在する地下水(かん水)に,天然ガスとともに多く含まれています。
化学だいすきクラブニュースレター第52号(2022年12月1日発行)より編集/転載