活躍する化学 シャンプーとリンスの化学 ~シャンプーとリンスを混ぜるとリンスインシャンプーになるの?~
シャンプーとは
シャンプーとは髪の毛や頭皮の汚れを洗い流すための頭髪用洗剤です。食器用などの洗剤と同じく,油汚れをはがして水になじませる界面活性剤という成分が入っています。これは油と結びつきやすい部分と水と結びつきやすい部分をあわせもっています。さらに,水と結びつきやすい部分はマイナスの電荷を帯びているので,同じくマイナスの電荷を帯びた髪の表面と反発しあって,はがした汚れや残った洗剤が髪から離れやすいようにもなっています。
リンスとは
シャンプーで油汚れは落とせますが,同時に髪の毛の内部を守るために必要な表面の油分も減ってしまいます。そこで使われるのがリンスです。髪の毛どうしの摩擦を防ぎ,髪をしっとりとさせるはたらきがあります。コンディショナーなどとも呼ばれます。リンスにも界面活性剤が入っていますが,シャンプーとちがい,水と結びつきやすい部分はプラスの電荷を帯びています。これが髪の表面にくっつき,反対側の油と結びつきやすい部分が髪を覆い,そこにリンスに含まれる油分がくっつくことで内部を守り,髪をしなやかにするのです。
リンスインシャンプーとは
世の中には,両方のはたらきをあわせもつリンスインシャンプーというものもあります。時間と水を節約できる便利なものですが,シャンプーとリンスを単純に混ぜあわせたものではありません。リンスインシャンプーにはシャンプーと同じ汚れをはがす界面活性剤と,水に溶けるのに時間がかかる油分が配合されています。まず界面活性剤が汚れをはがした後,ゆっくり溶け出した油分にはプラスの電荷を帯びている部分があるので,髪の表面に直接くっついて,髪を守ります。2つのはたらきに時間差ができるように考えられた処方になっているのです。身近な存在のシャンプーとリンスにもさまざまな化学の技術や工夫が取り入れられているのですね。
- 参考資料
- 花王株式会社 ヘアケアサイト:https://www.kao.com/jp/haircare/scalp-care/8-4/
- 九州大学附属図書館ホームページ 化粧品の化学:シャンプー&リンスの化学:https://guides.lib.kyushu-u.ac.jp/c.php?g=775109&p=5559899
※URLのリンク先はいずれも2023年5月現在
化学だいすきクラブニュースレター第52号(2022年12月1日発行)より編集/転載