化学だいすきクラブ

暮らしの化学 灯りがついて,扇風機が回り,ご飯も炊ける 暮らしを支える電気エネルギー

暮らしの化学 灯りがついて,扇風機が回り,ご飯も炊ける 暮らしを支える電気エネルギー

もうすぐクリスマス。小学3年生の花子はツリーの飾りつけを終え,最後に灯りをつけました。

コンセントに電源プラグをさし込めば,電気が流れてクリスマスツリーの灯りがつきます。

電気とはいったい何なのでしょうか。中学1年生の兄のケンとともに電気の正体と,

発電所や電池で電気のエネルギーがつくられる仕組みについて考えます。

この記事を書いた人: 池田亜希子(サイテック・コミュニケーションズ)

いろいろなはたらきをする電気エネルギー

花子今年も素敵に飾り付けをしたわ。いよいよ灯りをつけるわよ!(コンセントに電源プラグをさし込むと灯りがつく,写真1)。

ケン毎年,この瞬間に,“電気はすごい”と思うんだ。

花子コンセントから電気がきているのよね。こうして灯りをつけることができるけれど,扇風機の羽を回すこともできるし,炊飯器ならご飯が炊けるし,電車を走らせることもできる。私も,電気はすごいと思う。

ケン電気はエネルギーの一つだから,いろいろなはたらきができる。どんなふうにはたらくかは,それぞれの電気製品によるよね。例えば,モーターは電気エネルギーを,回転の運動エネルギーに変換する。だから,電気自動車が走れるんだね。

花子電気が発電所でつくられていることは,知っているわよ。

ケンそうだね。このコンセントに来ている電気は,発電所でつくられて送電線で家まで送られて来ているんだ。水力,火力,原子力の各発電所があるね。いずれも発電機のタービン(大きな羽)を回して電気エネルギーをつくっていて,そのために水の流れを利用するのが水力発電で,蒸気の力を利用するのが火力発電と原子力発電だ。蒸気をつくるのにお湯を沸かすのだけれど,石炭や石油,天然ガスを燃やした時の熱エネルギーを利用するのが火力発電,核分裂の熱エネルギーを利用するのが原子力発電だよ。ちなみに発電機は,コイル(銅やアルミニウムなどでできた導線を巻いたもの)の中で磁石を回転させることで発電する。

花子巨大なヤカンでお湯を沸かして,その蒸気で風車を回すと発電機も回転して,電気エネルギーができるというイメージね(図1)。ところで風力発電とか太陽光発電というのも聞くけれど…

ケン風車を回す風のエネルギーや,太陽の光のエネルギーを電気エネルギーに変換するんだ。火力発電で燃料を燃やした時に出る二酸化炭素(CO2)には,地表付近の大気を温める温室効果があるから,風力発電とか太陽光発電みたいに発電時にCO2を出さない,環境への影響の少ない発電方法が求められているんだよ。ここまでで紹介した発電施設でつくられた電気エネルギーはどれも非常に大きいんだけれど,家に届くまでに徐々に電圧(電気を押し出す力)が下げられて,電気製品が使いやすい大きさになっているんだ。それでも100 V(ボルト)という電圧は十分に大きいから, “感電”に注意しなくてはならない。

花子乾電池の1.5 Vに比べたら,十分に大きいわね。感電って何かしら?

ケン体に電気が流れてショックを受けることで,とても危険だ。電源プラグをコンセントにさし込むときは,電気が通らないプラスチックで覆われた部分を持たなくてはいけないし,その時,手が濡れていたりしてはダメなんだよ。

花子便利だけれど,電気には怖い面があるのね。気を付けるわ。

電気の正体は電子の流れ

花子ところで,お兄ちゃん。電気っていったい何なの?

ケン正体を知りたいんだね。電気が流れるのは,この世界の物質が「原子」でできていて,この原子が電子や陽子,中性子からできているからなんだ。

花子どういうこと?

ケン元素ファミリーでは,毎回さまざまな元素が紹介されるね。いろんな性質をもった元素があることに驚かされるけれど,元素の正体は「原子」という粒子なんだ(図2)。電気にはプラスマイナスの2種類あるけれど,原子では+の電気をもつ「原子核」の周りを,-の電気をもつ「電子」が飛び回っているんだ。原子核は,さらに+の電気をもつ「陽子」と電気をもたない中性の「中性子」からできている。1個の陽子と1個の電子がもっている電気の大きさは,+と-の違いはあるけれど同じなんだ。だから原子が中性であれば,もっている陽子と電子の数は同じで,この数によって原子の性質が決まっているんだ。

流れる電気は+でも-でもいいのだけれど,導線の中を流れている電気の正体は-の電気をもつ「電子」なんだ。例えば金属のような物質は,自由電子と呼ばれるとても動きやすい電子があるから,電気が流れやすいんだよ(図3)。

ケンつまり,電気の正体は電子の流れだってことね。

小さな乾電池が発電する仕組み

花子そうそう。乾電池でも電気がつくられるでしょ? 小さな電池が,発電所と同じように発電をしているのってすごいと思うの。

ケン発電所でつくられる電気エネルギーに比べたらずっと小さいけれど,さまざまな電気製品を動かすのに十分なパワーがある。電池があるから,コンセントに電源プラグをさし込まなくても電気を利用できるね。テレビのリモコンや懐中電灯,時計などは,もしコンセントから電気をとらなくてはいけないと不便だね。

花子まさか電池の中にも発電機があるわけじゃないでしょ?

ケン乾電池の一つのマンガン乾電池を見てみよう(図4)。電気エネルギーは“化学的”につくられているんだ。電池の中では,電極の物質の化学反応が起こっていて,それに伴って-の電気をもつ電子が取り出される。

花子へぇ。電気,つまり電子の流れを起こす方法はいろいろあるのね。

ケンだから電池の技術はどんどん進歩しているんだ。

花子もっと電池のことが知りたいわ。

ケンじゃあ,さらに電池の話を続けよう!

(次号では,さまざまな電池の化学に迫ります。)

写真1
写真1: コンセントに電源プラグをさし込む。感電しないために電源プラグはプラスチックで覆われている。
図1
図1: 火力発電,原子力発電のイメージ。お湯を沸かして蒸気をつくり,その力でタービンを回転させ,発電する。
図2
図2: 電子,陽子,中性子からできている原子の模式図。原子は,陽子(赤)と中性子(青)からできている原子核と,その周りを飛び回る電子(黒)からできている。
図3
図3: 金属中の自由電子のイメージ。アルミニウム(Al)や銅(Cu),鉄(Fe)のような金属には,原子核から離れて自由に動き回ることのできる自由電子がある。この自由電子が流れるので,金属は電気が流れやすい。
図4
図4: マンガン乾電池 電池の中で化学反応が起こって,電子が取り出される。
【参考】
『電気の基本がよ~くわかる本』(秀和システム)
「電気の子ヨンのくらしと電気,大たいけん!」(四国電力):https://www.yonden.co.jp/cnt_kids/
「発電のしくみ」(電気事業連合会):https://www.fepc.or.jp/enterprise/hatsuden/index.html
新しい理科4,5,6(小学校、東京書籍)
新しい科学1,2,3(中学校、東京書籍)
乾電池について(電池工業会):https://www.baj.or.jp/battery/qa/battery.html

※URLのリンク先はいずれも2024年5月現在

化学だいすきクラブニュースレター第55号(2023年12月1日発行)より編集/転載

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