化学だいすきクラブ

活躍する化学 静電気の正体を探ろう!

活躍する化学 静電気の正体を探ろう!
この記事を書いた人: 三橋諒輔
千葉県九十九里町立九十九里中学校

静電気って何?

重ね着した服を脱ぐときにパチパチと音がしたり,服に糸くずなどが引きつけられたりしたことはありませんか。これは布と布の摩擦によって生じた電気が体や服に溜まることで起きる現象です。このように物体にたまった電気を静電気といいます。電気には2つの種類があり,これを+の電気と-の電気と呼びます。

静電気はどうやって起きるの?

+の電気と-の電気はどこからくるのでしょうか。身の回りの物質は,「原子」という小さな粒子がたくさん集まってできています。ヘリウムという物質の原子の中心には,+の電気をもつ「原子核」が1個あり,そのまわりに-の電気をもつ「電子」がいくつかあります(図1)。原子核は,+の電気をもつ「陽子」と,電気をもたない「中性子」から成り,原子核としては+の電気をもちます。1個の原子がもつ,陽子の数と電子の数は等しく,電気の符号が逆になっているため,打ち消し合い,原子全体では電気をもっていない状態です。このように原子から成る身の回りの物は電気をもっていない状態ですが,物どうしを摩擦すると,-の電気だけ片方の物に移動し,一方は+,もう一方が-の電気をもつことになります。同じ種類(+と+,-と-)の電気の間では退け合う力がはたらき,異なる種類(+と-)では引き合う力がはたらきます。

こんなところにも静電気!

雷は雲の中で,水滴や氷の粒がぶつかり合って摩擦がおこり,+の電気をもった軽い粒は雲の上の方へ,-の電気をもった重い粒は雲の下の方へ集まります。雲の下の方に集まった-の電気に引き寄せられて,地面が+の電気をもつようになり,雲と地面の間を大量の電気が一瞬で流れます(図2)。

コピー機は,電気の力を利用してトナー(インク)を紙に転写しています。-の電気をもったドラムにレーザー光を当てて,転写したい場所だけ-の電気を逃がします。-の電気をもったトナーを近づけると,転写したい場所に吸着し,それ以外の場所はドラムの-の電気と退け合います。紙の裏で+の電気を起こして,-の電気をもったトナーを引き寄せ,紙に転写します(図3)。パチパチと音を出す静電気の正体です。

参考
株式会社リコー「コピー機の不思議 大解剖!」:https://www.kouken.ricoh/science_caravan/_userdata/CopyFushigi.pdf
「理科の世界2」(大日本図書, p.212)

※URLのリンク先は2024年9月現在

図1
図1: ヘリウム原子のつくり
図2
図2: 雷の仕組み
図3
図3: コピー機の仕組み

化学だいすきクラブニュースレター第56号(2024年4月1日発行)より編集/転載

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