化学だいすきクラブ

活躍する化学 食品の化学(ポリフェノールの化学)

活躍する化学 食品の化学(ポリフェノールの化学)
この記事を書いた人: 齋藤正義
筑波大学附属中学校

ポリフェノールとは?

ポリフェノールは,複数の–OH(ヒドロキシ基)が結合した図1のような有機化合物です。ほとんどの植物に存在する苦味にがみ色素しきその成分で,自然界に広く分布しており,現在までに8,000を超える化合かごうぶつが知られています。この中でもフラボノイドは最も研究されているポリフェノールであり,紅茶こうちゃに含まれるカテキン(図1)や大豆だいずに含まれるイソフラボン,ブルーベリーに含まれるアントシアニン,カレーの色素であるクルクミンなどがあります。

リンゴポリフェノール(プロシアニジン)

リンゴには約50種類のポリフェノールが含まれていますが,その6割以上を占めるのがプロシアニジンと言って,カテキンが2~15個結合した複雑な構造をしています。プロシアニジンには,こう血圧けつあつ動脈どうみゃく硬化こうか糖尿とうにょうびょうといった生活せいかつ習慣しゅうかんびょう肥満ひまん予防よぼうこうアレルギー作用,老化ろうか予防,紫外線しがいせんによる炎症えんしょう抑制よくせいなどの健康効果があることが確認されています。また,ポリフェノールは皮やしんの部分に特に多く含まれています。そこで,青森県りんご対策たいさく協議きょうぎかい推奨すいしょうするリンゴの「スターカット」(図2),水平に輪切りにして皮ごと食べる方法を用いると,食べる部分が増え無駄むだが少なくなるので,ポリフェノールをよりたくさん摂取せっしゅできます。

ポリフェノールが多く含まれる食品

様々な食品からポリフェノールを摂取することは栄養バランスの観点においても大切です。身の回りの食品にはどのようなポリフェノールが含まれているかを探してみましょう。

参考文献
越阪部 奈緒美, ポリフェノールパラドックス生体利用性と機能性の矛盾, Kagaku to Seibutsu 54(10):726-731(2016):https://katosei.jsbba.or.jp/view_html.php?aid=666
庄司 俊彦, リンゴポリフェノールの有用性:https://www.kao.com/jp/healthscience/report/report066/report066_02/
一般社団法人青森県りんご対策協議会,青森りんごで栄養まるごとスターカット:https://www.aomori-ringo.or.jp/wp-content/uploads/2019/08/leaflet_a5.pdf

※URLのリンク先はいずれも2025年8月現在

図1
図1: 代表的なカテキンの構造
図2
図2: リンゴの「スターカット」
図3
図3: ポリフェノールが含まれている食品

化学だいすきクラブニュースレター第58号(2024年12月1日発行)より編集/転載

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