
活躍する化学 水の不思議な性質 ~化学で解き明かす氷の秘密~

みなさんは「水」がどんな不思議な性質をもっているか知っていますか? 水は,飲んだり手を洗ったりするだけではなく,化学的にすごい性質をたくさんもっています。その中の一つに氷になると「体積が増える」という性質があります。この性質について一緒に考えてみましょう!

水が凍ると体積が増える?
通常,多くの物質は冷たくなると体積が減る性質をもっています。しかし,水は冷たくなって氷になると,体積が増えるのです。そのため,例えばペットボトルに水を入れて冷凍庫に入れると,ペットボトルがふくらむことがあります。なぜこのようなことが起こるのでしょうか。その秘密には,水を作っている小さな「水分子」の特別な性質がかかわっています。

水分子の形がポイント
水は,小さな水分子がたくさん集まってできています。この分子たちは,冷たくなるとお互いに手をつないで,六角形のような形を作ります。この形を作ることで,水分子の間に空間が生まれ,結果として体積が増えるのです。この性質こそが,水が凍るとふくらむ理由なのです。
4℃で最も密度が大きくなる
さらに,水にはもう一つおもしろい性質があります。それは,4℃のときに最も密度が大きくなる,つまり一番重たくなるということです。このため,例えば冬の湖や川では,密度の小さい4℃以下の水が表面に集まり氷ができやすくなりますが,少し温かい4℃の水は下の方にたまります。この性質のおかげで,湖や川に住む生き物たちは寒い冬でも生き延びることができるのです。
まとめ
水が氷になると体積が増えるという性質は,一見当たり前のように感じる水の中に,実は大きな不思議が隠されていることを教えてくれます。このような性質を知ることで,身近な自然現象にもっと興味をもつきっかけになってくれると嬉しいです。これから水を使うときには,「どうしてこうなるのかな?」と考えてみると,新しい発見があるかもしれません。
化学だいすきクラブニュースレター第59号(2025年4月1日発行)より編集/転載