
活躍する化学 物質の状態変化の利用
図1 物質の三態物質の三態
物質には3つの状態があることを知っていますか? その3つとは「固体」,「液体」,「気体」です。私たちの最も身近にある物質である水で考えると,氷が「固体」,水が「液体」,水蒸気が「気体」です。水だけでなくすべての物質が条件(温度や圧力)によっていずれかの状態をとることができます。また,固体から液体,液体から気体のようにある状態から別の状態に変化することを「状態変化」といい,図1のようにそれぞれの状態変化には名称があります。
今回はこの三態をうまく利用して私たちの生活で活躍しているものをいくつか紹介します。
物質の三態の利用例
① 防虫剤
私たちは普段,衣類をタンスなどに収納しています。しかし,その内部には様々な理由から衣類をエサとする虫が入ってしまい,衣類に虫食い穴ができてしまうことがあります。これを防ぐために,防虫剤というものがあります。その防虫剤に使われる「ナフタレン」や「パラジクロロベンゼン」といった物質は,固体から気体に変わる性質(昇華)を利用することで衣類が濡れずに防虫の効果を広げられます。ただし,これらを併用すると防虫剤が融けてしまうことがあるので,注意事項をよく読んで使用するようにしてください。
② スプレー
私たちの身の周りには,制汗スプレーやヘアスプレー,冷却スプレーなどのようにたくさんのスプレーがあります。これらのスプレー缶の中身は,主に可燃性ガスが圧縮することによって液体になった(凝縮した)ものです。スプレー缶製品は,この液化ガスと用途に合わせた化学物質を混入させています。
③ ライター,トーチ
学校で使われるLPガスやカセットコンロなどは,以前はマッチで火をつけるのが一般的でしたが,今はライターが代役を果たしています。ライターもスプレー缶と同じように,可燃性ガスに圧力を加えて液体にした(凝縮した)ものを燃料として使用しています。これは,液体と気体を比べたときに液体の方が同質量あたりの体積がはるかに小さいからです。可燃性ガスを液体にしたものを活用する例として,ガスコンロやキャンプで使用するトーチ,さらにはオリンピックの聖火などがあります。
今回は,物質の三態が私たちの身の周りでどのように利用されているのかを紹介しました。紹介したものは便利な一方で,使用方法を間違えると危険です。可燃性ガスを使用している製品は,製品の裏面に記載があるように火気の周囲での使用は爆発・引火の恐れがありますので使用は厳禁です。実際にあった事故例として,冷却スプレーを服の上から噴射した後に近くでライターやコンロを使用したところ,衣類に着火してしまったということがありました。
いろいろな製品を使う際に,物質の三態を利用されているかどうか,またどの状態変化を利用したものか考える視点をもつとおもしろいと思いますので,ぜひ実践してみてください。
化学だいすきクラブニュースレター第60号(2025年7月1日発行)より編集/転載




