家庭でトライ!! 炭の力で色水の色を除こう!
バーベキューなどで使う備長炭には,目に見えないほどの小さな孔がたくさんあいています。この小さな孔を利用して,色水の色を除きましょう。
準備するもの
- 備長炭 約80 g
- 水 200 mL
- 脱脂綿 約1.5 g
- 絵の具
- かき混ぜ棒
- 金づち
- くぎ
- カッターナイフ
- はさみ
- セロハンテープ
- プラスチックカップ
- 空の500 mLペットボトル
- 新聞紙
- 台所用水切りネット袋
- 保護メガネ
- 軍手
実験操作1
500 mLペットボトルの半分くらいの高さのところをはさみで切る。
(カッターナイフで切リ込みを入れると切りやすい)。
切り口をセロハンテープでおおう。
注意:ペットボトルの切り口で手を切らないように!
実験操作2
ペットボトルのふたを外し,ふたの真ん中にくぎをあてて金づちでたたき小さな穴をあける。
注意:下に厚い新聞紙や雑誌,板などを敷いて,台を傷つけないように!
ふたに穴があいたら,再びペットボトルにつける。
実験操作3
備長炭を新聞紙にくるみ,金づちで細かく砕き,ペットボトルに詰めやすい大きさにする(厚手のポリエチレン製袋に入れてから,金づちで叩いてもよい)。
注意:保護メガネを必ずかけて,備長炭の破片が目に入らないように
砕いた備長炭を台所用水切りネット袋に入れ,よく水洗いして,細かすぎる備長炭の粒を除く。
実験操作4
写真のように組み立て,ほぐした脱脂綿をつめ,その上に洗った備長炭を入れる。
実験操作5
プラスチックカップに絵の具を1 mmほど出し,水200 mLを加えてかき混ぜ棒で混ぜ,色水をつくる。この色水を備長炭の上から静かに注ぐ。ペットボトルのふたの穴から出てきた液体の色と,もとの色水の色を比較しよう。
解説
炭を手でさわると,手が真っ黒になりますね。でも,備長炭に通した色水は,ずいぶんと色が薄くなリました。この備長炭(写真左)は多孔質で,走査型電子顕微鏡(SEM)で観察すると直径1 µm(=1000 nm)ほどの細かい孔が無数に存在していることが分かります(写真中央)。これを透過型電子顕微鏡(TEM)で観察すると,さらに小さな5 nmほどの孔があいてます(写真右)。これらの孔に色のもとになっている物質が吸着されると,色水の色が薄くなります。家庭で,備長炭の入った脱臭剤で湿気やにおいをとったり,浄水器で水道水に含まれる塩素臭などをとり除いたりできるのもこの小さな孔のはたらきによるものです。
実験で使い終わった備長炭は,水洗いして乾燥させると,再び利用することができます。もしも,色水の色があまリとれなかったら,備長炭に繰り返し通したリして,どうしたら無色に近づくのか考えてみましょう!
化学だいすきクラブニュースレター第25号(2013年10月18日発行)より編集/転載