家庭でトライ!! 指紋の採取をしてみよう!(ガラスコップについた指紋を検出する実験)
指紋の採取は,個人を特定する鑑定方法としてよく知られています。もともとは,1874年(明治7年)にキリスト教の宣教師として日本に来たヘンリー・フォールズ医師が,日本人の「証文などに拇印を押す習慣」に興味を持ったことがきっかけとなりました。フォールズ医師の指紋研究の成果は,当時のネイチャー誌(世界的に有名な英国の科学雑誌)に掲載されました。科学技術の進歩した現在では,さまざまな薬品や器具を使った多くの指紋の採取方法があるようですが,ここでは家庭にあるアイシャドウなどを利用して,ガラスコップにつけた指紋を採取してみましょう!
準備するもの
- アイシャドウ(粉タイプのもの。100円均ーショップのもので可。適切なアイシャドウが家庭にないときには小麦粉で代用できる)
- 刷毛
- ガラスコップ*
- セロハンテープ
- 黒い紙
- 新聞紙
(ゴム手袋や輪ゴムは適宜準備する)
* 洗剤できれいに洗い,十分に乾燥させたガラスコップを準備すること
実験操作1
ガラスコップに指を押しつけて指紋を付ける。
- 鼻の頭を軽くつまんでから指紋を付けると,はっきりとした指紋が得られる
- 他人の指など,いくつかの指紋を付けると,鑑定を楽しむことができる
- ガラスコップを持つ手の指紋がつくのが気になる場合には片方の手にゴム手袋をつける
実験操作2
ガラスコップにアイシャドウの粉を軽く振りかける。このとき刷毛に含ませた粉を上から振り掛けるとよい。
- 新聞紙を下に敷く
- ガラスコップが転がってしまうときは,コップの下に輪ゴムなどを置くと良い
実験操作3
ガラスコップを軽くたたいて,余分なアイシャドウの粉を落とす。
実験操作3'
きれいに落とせないときは,さきほどの刷毛を利用して,指紋の形を消さないよう,丁寧にアイシャドウの粉を落とすと良い
実験操作4
3〜4 cmの長さにカットしたセロハンテープを指紋の上に付けてはがす。
- 黒い紙の上に貼ると指紋を保存することができる
解説
ガラスコップについた指紋には油脂が含まれています(油脂は指表面からは多く分泌されないので,指で顔や頭などを触ったことからくるものがほとんどです)。アイシャドウの粉や小麦粉がその油脂にとらえられるので指紋を検出することができます。アイシャドウの種類や小麦粉の種類によって,指紋を検出しやすいもの,そうでないものがありますので,色々と試してみてください。
化学だいすきクラブニュースレター第24号(2013年6月20日発行)より編集/転載